死ぬほど愛した人妻に死ぬほど憎まれる男のこれまでとこれからの話

クソ旦那の長年に渡る各種DVで心を壊された人妻を愛するも、クソ旦那にバレて強制終了。愛する女性を無くした悲しみから抜け出せず、現在訴状待ちのお人好し系男(独身)の話。

彼女だけが居ない部屋

男は、女を理由に人生決めちゃいけないと思うんだよね。それは女にも失礼なんじゃないかな。

タケシは自分が大好きなドラマの名ゼリフを裏切り、転居を決断しました。

冬には更新になる、ヤクザの事務所でも入ってそうな、夏は暑くて冬は寒くて、水回りが最悪な築40年超えの住まいを捨てて、次は必ず追い焚き機能付きのお風呂の有る部屋だけを条件に、緩く部屋探しをしていましたが、そこに、少しでもK子の側に居られるように、何かあった時にすぐに助けられるようにという条件を加えた結果、次の住まいは渋谷区か港区と決めていた自分を裏切り、全く興味の無い墨田区に、物件そのものは申し分無かったけど、何の魅力も感じた事の無い墨田区に、有り金を全部突っ込んで部屋を借りました。

そんなタケシの分かりやすいアピールは流石にK子の心にも届いてと言いたい所でしたが、正直そんな事くらいでは、すぐに彼女の心の根っこの部分を動かす事は出来なかったけれど、落ち着いて話をする時間を増やした事で、2人の気持ち(タケシだけかも…)は加速し、結果終わりを早めたのかなと、今は思います。

関係が始まった当初から、K子が楽しみにしていた、子供たちの野球合宿が迫って来た頃、まだ引越の前でしたが、その日の為に最低限のものを部屋に運ぶタケシ、合宿の準備をしながら、直前に熱を出した娘を必死に看病するK子。

無事に回復した子供たちとクソ旦那を合宿に送り出し、満を持して、朝まで一緒に居られる最初で最後の日を迎えました。

仕事が終わり、一度解散し、下の毛を整え、寝巻きに着替えて、万が一に備え、普段使っていない折畳み自転車でタケシの部屋にやって来たK子。

コンビニで食料を買い込み、Netflixでウシジマくんを観ながら、アホみたいにイチャイチャしていました。

途中、合宿先のクソ旦那からK子に電話がかかって来ました。

「出ないと怪しまれるから」

と電話を取ったK子はクソ旦那と中身の無さそうな会話、と言うよりは誰かの悪口を話した後に、

「愛してると言え」

とクソ旦那に言われ、

「嫌だよ〜」

と言いながらも満更でも無い様子で、

「愛してる❤おやすみ😘」

と、不倫相手の部屋で、全裸でクソ旦那にそんな事を言っているK子に、タケシは正直ドン引きしていました。

電話を切ったK子は、そんなタケシを観て、

「言わないと一生電話切ってくれないから、、ねぇ?怒ってる?」

とタケシにすり寄って来ました。

そこで抗えないのがタケシの弱い所、とにかくこの日は馬鹿になるくらいお互いの欲求不満を解消させようと決めていた馬鹿な2人は、刹那的な幸福感を得て、朝を迎えたのでした。

その後、タケシは本格的な引越を終え、K子と2人で座ってタバコを吸えるようにと、バルコニーにベンチを作ったり、K子は家族の目を盗んで、タケシに晩御飯のおかずを作って、仕事終わりの帰宅途中に渡したりと、大前提にある制限は変わらないなりに、束の間、甘ったるい日々を過ごしたのでした。

(1週間程度でしたが…)

この頃から、ようやくK子のヒステリーは落ち着き、色々と話も出来るようになって来てはいました。

K子「住宅ローンを払う事で、社会的信用を得られるんだから」(ドヤ)

タケシ「そ、そうか、家を買うって大変だなぁ」(そんな営業に引っかかるなんて、クソ旦那も揃って馬鹿なんだなぁ涙、そもそもその価値観受け入れたら、住宅ローンを払って露骨に食い物にされなければ社会的な信頼を得られない価値の無い人間と思われるのに…おまけに男女の年子が6畳の部屋にずっと居られるわけ無いし、土地に価値の無いマンションの買い替えなんて上手く行くはずもないのに、そんな事も考えずに35年ローン組むなんて…)

と、前途多難な部分もありましたが、

「そんなに子供が大切なら、真剣にクソ旦那と離婚する事考えないと、本当に子供が可哀想」

「K子が選ぶ男が俺じゃなかったとしても、K子自身と子供の幸せを考えるなら、クソ旦那とは絶対に別れるべき」

と、タケシの主張を伝える事も出来るようになって来たので、あとはすぐに薬を出さない、良いカウンセラーを探して、K子の心を少しずつでも改善して行こう!とタケシは無駄に意気込んでいました。

K子はただ、現実逃避の場所 or シンプルにSEXの相手を探していただけに過ぎなかった事に、タケシはまだ気づいていませんでした。

そしてまんまと共依存に落ちてしまったのでした。

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次回へ続きます。

 

 

 

地雷原

地雷原(じらいげん)は、地雷が広範囲に埋設された地帯を言う。

 

K子との日々は、まるで地雷原を歩くように思える事が多々有りました。

とにかく何がきっかけで爆発するか分からず、訳を聞いても理解を越える事が多かったように思います。

K子はよく、自分を卑下するような事を言っていました。

「私より綺麗な女の人は沢山いる」

「〇〇ちゃんの方が私より優しいと思う」

「私は最低の女だから…」

K子の望む言葉はただ一つ、

「そんな事ないよ」

だけでした。

試しにK子の自身を貶める言葉に同調してみると、

「酷い!」

「冷たい!」

「悲しい!」

と、一気にボルテージを上げて怒りをぶつけて来ました。

タケシが1番嫌だったのは、K子がその怒りなどの負の感情を、基本LINEや社内チャットで一方的にぶつけて来る事でした。

タケシは理不尽な怒りをぶつけられる事がとりわけ苦手な男なので、クールダウンするまで無視したいのですが、返信をしないと、

「そんなに冷たくするなんて酷い!」

「今すごく冷たい顔をした!」

と悲劇のヒロインモードに突入したり、

「無視か?」

と輩モードで絡まれたりしていました。

ワンフロアの零細企業内での社内不倫であった事もあり、タケシがK子以外の女性とコミュニケーションを取るだけで、

「ムカつく!」

「これからはどうぞ〇〇さんと仲良くして下さい」

「私の事好きだって言うのに、他の女とイチャイチャするなんて許せない」

 

など、理不尽な言葉をぶつけられながら鬼の形相で睨みつけられたりもしました。

そんな時K子はタケシにだけ冷たく接したり無視したりするので、仕事にも支障が出まくりでした。

ヒステリーの原因は120%欲求不満とは言うものの、2人でのんびり過ごす事はもちろん、電話で話せる時間も限られており、また地雷の数は毎日増えているように感じられ、タケシの心労は増えるばかりでした。

しかしながら当時のタケシは、K子の心が不安定なのはクソ旦那を筆頭に周りにろくな人間がいないからで、環境や関わる人間が変われば、きっと良くなるに違いないと信じており、努めて対話を試みていました。

異常な嫉妬に対して、

「そんな軽い気持ちでK子を好きになった訳じゃないし、そもそも〇〇さんだって迷惑だよ」

一方的な怒りについて、

「直接話さずに理不尽な感情をぶつけて逃げるのは卑怯だと思うしやめて欲しい。何かあればこうして話せるんだから、ちゃんと話し合って解決して行こうよ」

「確かにそうだよね」

とその時は聞いてくれた雰囲気になっても、同じことが繰り返されていた為、結論K子には理解してもらえなかったのでしょう。

また、こうした対話の中でもK子はさらにあさっての方向から、逆にタケシがまったく理解出来ないような事を言いました。

怒りを抑える事が出来ない事について、

「良くないって分かってるけど感情がどうしてもコントロール出来なくてつい怒りをぶつけてしまう」

嫉妬が止まらない事について、

「タケちゃんが他の女に行くなんて思わないけど、不安が強過ぎて頭がおかしくなる」

「私は嫉妬を止められないから、タケちゃんも同じくらい嫉妬して欲しい。そうされる方が私は嬉しい」

そもそもの生き方のスタンスについて、

「そもそも私にとって、恋愛の優先順位は高くない。家の事が最優先だから、学生みたいに恋愛の事ばかり考えていられない。だからタケちゃんも、私がキレてるのは無視して仕事に専念して欲しい。私に対して気を遣うんじゃなくて、チームのみんなに気を配った方が良い。私はその時は寂しくなっちゃうかもしれないけど、だからって私の顔色ばっか気にしないで良いよ」

他にも、

「不倫するなら既婚者同士の方がお互い割り切れるから良い」

「私が知らない女だったら、どこで誰と何しても良いよ」

「タケちゃんが他の誰かと結婚したら、私はきっと泣いちゃうけど、奥さんに悪いから私はいなくなるね」

この時点で、首輪をつけてでもカウンセリングや精神科に行かせるべきだったと今では思えますが、当時のタケシはまだ自力での解決を望んでいました。

K子を助ける事が出来るのは自分しかいないと。

 

次回へ続きます。

クソ旦那は当然クソ親

ある日の仕事中、K子は小学校に呼び出されて早退しました。

聞けば、長男が妹の同級生にエアガンをぶっ放したと…

夜も更け、K子から連絡が来ました。

長男は誰かに強制されたり、煽られたりした訳でもなく、彼自身の意志で引き金を引いたと。

そんな話を先生に聞かされ、学校でこってり絞られた後、今度は怪我をさせた子どもの家に謝罪に行ったと。

クソ旦那は一緒に謝罪に行く事も無ければ、長男への説教も放棄して寝ていると。

タケシはK子に、長男はどんな子かと聞いてみた。

「見え透いた嘘をつく小者、ただ母親思いな一面を見せる事もある優しい奴でもある」とK子は答えました。

そもそも自分の息子を人に伝える言葉選びじゃないなと思いつつ、そこは譲ったとしてその不出来は完全に親の悪影響じゃ…とタケシは思いましたが一旦飲み込み、むやみに人を傷つける事は相手は勿論、自分の周りに居る人たちをも傷つける事を伝え、その上で母親思いの優しい面が伸びるように導いてあげたいねとやんわり言葉を返しました。

「育て方を間違えたのかな…」とK子は言いました。

もっともらしく自分を責めるような事を言いましたが、ピントのズレたK子に、育て方も何もクソ旦那がいるからいけないとタケシは返しました。

「俺が行くとキレちゃうから」と相手の家への謝罪を拒否して、

「俺父親居ないから何て言ったら良いか分からない」と息子と向き合う事からも逃げる男が父親として居る。

自分勝手な都合で、1番身近な家族を傷つけ続ける人間が、人を傷つけてはいけないと教えられる訳がないし、家の中でそんな父親の姿を見続けて来た子どもが、理不尽な暴力で人を支配しようとするのは不可避だと。

いつもなら自分を否定されるような事を言われるとどんな角度からでも逆ギレして来るK子もこの時ばかりは、タケシの言葉を受け止めたようでした。

タケシが寝た後、「メッセージを取り消しました」が3回くらい入っていたけど…

それでもきっとK子は分かってくれると、タケシは信じていました。

 

これは言いませんでしたが、悪口を言うとか、手を上げるとかを通り越して、エアガンをぶっ放す子どもは本気でヤバいと思いましたし、自分が被害者の親なら、母親1人に謝罪に来させて訳の分からない言い訳をして家に籠る旦那はクソだし、そんな家族とは関わりたくないと当然考えるだろうと思いました。

何よりも相手の子どもやその親御さんを思う言葉が何一つ出て来なかった事に驚きました。

如何に必死に取り繕ったとしても、こんな話はあっという間に広まるでしょうし、そんな親子と仲良くしたいと心から思う人は居ないでしょう。

実際長男は荒野行動の中で仲間外れにされるなどしんどい思いをしていたりするのに、問題の根本的な原因から目を逸らし、子どもの為だからと、とっくに居場所のないコミュニティにしがみつこうとする様子は、ただただ痛々しく思えました。

 

次回へ続きます。

 

初デート

6月初旬、痛めた膝が限界を迎えたタケシは、人生初の外科手術の為、御茶ノ水にある大学病院に入院する事となりました。

半月板損傷及び靭帯損傷に対する内視鏡切除術みたいな感じで、手術前日に入院し検査でたらい回しからの絶食、右脚の毛を除毛してフラフラの状態で手術室に向かうも眼鏡を回収されヨチヨチ歩き、やっとの思いで手術室のベッドに辿り着き、背が高過ぎてベッドからはみ出している事を弄られているうちに麻酔で昏倒、目を覚ますと頭痛よりも、ガチガチに固定された右脚よりも、何故か常におしっこ漏れそうな違和感が何よりも強烈な記憶です。

全身麻酔だった為、尿道カテーテルとやらを仕掛けられていたのですが、こいつが曲者でその日は全く眠れず、看護師さんに懇願して夜中に外してもらった時、今まで一度も出した事のない声を漏らしました。

以降、排尿の度に激痛が走る状態で、ベッドサイドには尿瓶を備え付けられ、タケシはまた一つ恥を乗り越えたのでした。

ちなみに手術自体は大成功しており、翌日にはベッドから降り立つ事が出来る程に回復していました。

この日は確か土曜日だったか、K子が美容室終わりにお見舞いに来てくれました。

病院の食堂で昼食を食べ、病院内をちんたらお散歩したりして、病室に戻ると看護師さんが飛んで来て、「どこ行っていたんですか?無理しないで下さいよ〜!」とカーテンを開け、看護師さんとK子の目が合った瞬間に、バチっと音がした気がしましたが、まだ疲れていたので聞かなかった事にしました。

その後は手を握りながら、他愛もない話をしたりキスしたりして、K子は尿道傷だらけのタケシに「フェラしてあげようか?笑」と無茶を言いながら、「あんまり長居すると旦那に怪しまれるから」と帰って行きました。

その翌々日、退院して帰宅したタケシはいつも通りK子とLINEをしていると、突然K子がキレ出し、さらにその翌日、自宅療養中のタケシに仕事中のK子から謝罪のLINEが届きましたが、その理由は分からず、ただ自己嫌悪に陥るK子を放っておく事が出来ず、夕方客先に外出するK子と赤羽橋駅で待ち合わせをしました。

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タケシは昔から大好きな東京タワーを、K子と見たいという願いを密かに叶えつつ、前日の突然のヒステリーの事情をK子に問うてみると、前日洗濯の途中で寝落ちしていた所をクソ旦那に叱責された所、タケシがK子とのLINEの中で他の女の話(同僚女性との他愛もない話でしたが…)を出したから、頭に来てタケシに当たってしまったと言いました。

前述の通り、K子はフルタイムで働きながら家事育児もほぼワンオペで回している事を知っていましたから、クソ旦那の理不尽への不満を、あり得ない角度からタケシに打ち返して来たのかとすぐに理解はしましたが、あんまり訳の分からない感じでキレられても、本当にK子が何に苦しんでいるかとか、嫌な思いをしているとかが分からなければ、根本的な解決策を見つけられないじゃん?とやんわり諭し、辛い事、悲しい事、嫌な事があったら、怒りでぶつけるんじゃなくて、普通に話をして欲しい、甘えて良いからと伝えました。

その日は本当にありがとうと帰宅後にLINEが来ましたが、悲しいかな、結局タケシの提案がK子に消化され、活かされる事はありませんでした…

 

次回へ続きます。

 

 

プレゼント

K子を幸せにしたい、K子と幸せになりたい。

今冷静になって考えてみると、タケシのそんな気持ちは、タケシ自身が思う幸せをK子に押し付けようといただけに過ぎなかったのですが、世の中の不幸を全部背負ってます的な雰囲気を随所に醸し出すK子を、笑顔にしたい、喜ばせたい一心で、3ヶ月足らずの関係ではありましたが、心ばかりのプレゼントをしたりなどしました。

6月から営業見習いになる事が決まっていたK子、数字積み上げて給料上げたいという分かりやすいモチベーションではありましたが、以前からの本人の強い希望という事もあり、タケシは純粋にK子を応援していました。

ちなみに営業は、K子の希望が無ければ、経験値・スキル・適正からタケシに振られる予定のポジションでした。K子の仕事に協力はおろか、異常な束縛で足を引っ張るクソ旦那の存在は既に社内でも知れており、その言いなりになって当たり前、家で何かあれば仕事は投げるしかなく、おまけに感情の起伏が激しくその仕事にムラのあるK子の社内での評価は、お世辞にも少数精鋭とは言えない会社内でも決して高い訳では無かった事は、もはやK子が知る由もありませんが…

そうは言ってもK子の上司は確実に優秀で、その人に付いて学べば、K子自身の成長に繋がると思いましたし、仕事で自信を持つ事が出来れば、彼女にとって何かプラスに働いて、良い方向に変わるきっかけになるのではないかと思っていました。ミスは多くても、自力でリカバリーしようという責任感の強さは社内では貴重な力だと思いました。時として背負い込み過ぎて、立場や状況に適した判断が出来ない事もありましたが、裏で手を回してフォローする事も出来ていましたから、上から目線ですが、目先の小さな事よりも、K子自身が社会人としてステップアップして行く様子を見守りたいと思っていました。

もうすぐ営業としてK子の名刺が出来るとなった時、名刺入れをプレゼントしたいと伝えて、仕事終わりに伊勢丹に行き、ポップさが売りのロンドンのブランドで小洒落た名刺入れを選んで、翌朝会社に行く前に待ち合わせをしてK子に渡しました。

「本当に良いの?ありがとう!」

喜んで受け取ってくれた事が何よりも嬉しかったです。持ち慣れないから外出時に忘れる事も多かったのですが…

ただ、このプレゼントの件もばっちりLINEに残っていたから、きっと捨てられたか、捨てさせられたかしただろうけど…

ちなみに終わる数日前に、いい歳で人の親でありながらライトのない自転車を愛用し、その事に何の問題意識の無いK子の自転車にライトを付けてあげたりもしましたが、それもやはりきっと、捨てられたか、捨てさせられたかした事でしょう…

 

次回へ続きます。

 

半月板損傷も御構いなしに

この頃タケシは、不摂生と過労とストレスにより、右膝の靭帯と半月板を損傷し、右脚を引きずって過ごしていました。

激痛→松葉杖→ちょっと良くなる→激痛を3周し、人生初の手術を受ける1週間くらい前、仕事で外出したタケシとK子は、いち早く仕事を済ませて逢い引きする計画を立てていました。

同行していた上司Iさんはご機嫌に飲みたがっていましたが、タケシは「女の子と約束があるので」、K子は「早く帰らないと旦那が煩いので」とIさんを振り切り、計画通り内回りの山手線に乗り込みました。

「私とエッチしたい?」

「タケちゃんがどんな風にKの事気持ちよくしてくれるか楽しみ!」

などという露骨なアプローチと、これまで書いてきたような不幸話と、ひたすらキスをして来た時間とK子への純粋な好意が幾重にも重なり、とにかくK子を優しく抱きたい、俺がK子を幸せにする!くらい燃えていたタケシ。

そんなタケシの肩に頭を預けて手を握るK子。

新宿駅で降り、改札へ向かう途中から躊躇いもなく腕を絡ませるK子とタクシーに乗り込みタケシの部屋へ。

初めて安全な場所に行き着いた2人は、何も恐れず、ひたすらに求め合いました。

待ってましたと言わんばかりにタケシのベルトに手をかけるK子に、膝の爆弾を無視して膝をつくタケシ。

甘く、腑抜けた、享楽的な時間を愉しみ、トロけた脳みそで煙草に火を点ける2人。

K子は言いました。

「タケちゃんの事、ちょっと好きになっちゃった❣️」

今思い出しても、不倫とか不貞行為とかいう言葉を思い浮かべる事すら無かったのだから、余程のめでたさでした。

K「7月の終わりに子供の野球の合宿があって、子供たちと旦那は先に泊まりで出掛けるから、その時はお泊まりしよ?」

タ「それまで我慢出来るかな?笑」

K「Kも自信なーい!笑」

我慢する気のない2人なりに我慢はしましたが、5月の終わりから7月の終わりまでは無理でした…

バカみたいに分かりやすく深みにハマった2人…

客観的に見れば不貞妻と間男でしたけど、タケシはいつか誰にも文句言われない関係になりたいと思って、とにかくK子に与える事、受け止める事を心に決めました。

そして今となってはタケシ自身の傲慢だと思えるようになりましたが、K子の良心に期待し、クソ旦那に洗脳されたK子を正気に戻す事、植え付けられたしょうもない価値観を変える事を考え始めました。

 

次回へ続きます。

 

絶望的主従関係で無くした何か

ここまで書いた事を読み返しても、正直突っ込みどころ満載なのですが、タケシはK子に深く同情し、感情移入していました。

決して優秀という訳ではなかったけど、フルタイムで仕事をこなし、仕事が終われば家事と子供まわりの雑用の為に急ぎ帰る。

土日ともなればクソと子供の相手に1日が終わるそうで、朝、クソと子供たちを野球に送り出し、後ほど応援に行くまでの僅かな時間も家事に追われ、洗濯機を回している時間だけが息のつける時と言い、彼女自身が自由に過ごす事の出来る時間など全く無い日々を過ごしていました。

彼女の圧倒的な自己犠牲が、結局家族を甘やかし、それが結果的に彼女の首を絞めているのは明らかでしたが、安易にその事を咎めるような事は言えないほど、彼女は彼女のやり方で家庭を守っているのだと思いました。

タケシはそんなK子に一定の敬意を抱き、少しでも力になりたいと心から思いました。

何よりもそんなK子と家庭を持つ事が出来たらどんなに幸せな事だろうと本気で思っていました。

もちろん、女性として惚れている事も多分にありましたし、実際毎日LINEして、分単位で時間があればこっそりキスをして抱き合っていましたから、K子を抱きたい気持ちも日増しに強まっていました。

しかしながら、クソ旦那にボロカスにされ、人の為に生きる日々に疲れ、髪もメイクもいつもボロボロ、センスも何もないような格好しながら自分の事を犠牲にして守って来た、彼女の子供たちのための家庭。それがどんなに虚しく無意味なものだと思いながらも、今すぐにそれを否定してしまったら、彼女が自分の十数年の全てを否定されたと思い、悲しみの底に沈んでしまうと思ったし、行き遅れた中年であるタケシの性欲ごときで、K子に負担を掛けたくないと思っていました。

それよりもK子の色々な話を聞いて、彼女の重荷を少しでも軽くして、彼女の抱える問題を1つずつでもクリアする手助けが出来ればと思っていました。

結果、そんなタケシの決意はものの1ヶ月で吹っ飛んでしまいましたが…

 

きっかけはK子とクソ旦那の、所謂夫婦生活の話でした。

ジャブ程度に、クソから、お前は胸が無いから癒されないと言われるとか、子供の何かにかこつけて行われた親同士のくだらない飲み会で、クソ旦那がよそのお母さんの胸を揉み、翌日K子が1人でその人の家に菓子折を持って謝罪に行った話を聞かされました。

ちなみにこの時、私もよそのお父さんに触られたことあるしという余計なフォローを入れてきたのですが、かえって戸惑いを隠しきれませんでした。

これは後々書いて行こうと思うのですが、タケシの価値観において、彼女の周りには正直ろくな人間がいません。それでも度を越した寂しがりのK子は、子供のためと見え透いた嘘をつき、そのコミュニティで消耗し続けていました。きっと今もそうなのでしょう。

まともな人は自然と遠ざかっていくような環境に進んで身を置き、自ら苦境を創り出している事に本当に気づいていない、そのように思いました。

 

さて、クソ旦那のDVや、K子自身のまともにキスしてないという発言から、普通にセックスレスかと思っていましたが、話を聞いてみると斜め上を行く答えが帰って来ました。

「旦那の性欲処理の為に奉仕させられている」

クソ旦那から、ムードや雰囲気はおろか、K子の気持ちや体調すらおかまいなしに、手や口で奉仕する事を強要されたり、K子が眠りに落ちている間に下着をずらされ、クソ旦那が自分の唾で濡らしたクソ旦那を入れて腰を振られている事もあると。(当然のように毎回中に出されると)

そして自分が出した後は、何事も無かったように眠るのと。

さすがにそれはおかしいと思うし、本当に嫌だからやめて欲しい、そんなにしたいなら風俗に行っても良いからとK子はクソ旦那に訴えたが、全く聞き入れられず、度々繰り返されているとタケシは聞かされていました。

まるでトイレみたいに、性欲処理の道具として扱われるのは本当に辛いと、そんな非人道的な行為を強要される事を奉仕と言う彼女の全てが悲しくてたまりませんでした。

本当に嫌だからやめて欲しいとK子の明確な意思を聞いたにも拘らず、その行為を繰り返すのは最早性欲処理ですらなくて、行為の度に彼女に絶望感を与え、クソ旦那は優越感を得るという最低の支配、主従関係を成立させる最低の行為でしかないと思いました。

何よりも、レイプされた過去を持つK子を、曲がりなりにも夫を名乗る人間がレイプしている事がどうにも許せないし、今後も同じ事が繰り返される事を思うと、1日も早くクソ旦那のクソ旦那を叩き潰したいと心から思います。

「拒否をして、私が何かされるのは我慢出来るけど、子供に八つ当たりされるから…」

なまじメンタル強いから拒否をした事もあったけど、K子は当たり前に酷い目に遭い、子供も八つ当たりされたのでしょう…

「旦那は早漏だから、5分も我慢すれば済むし…笑」

やさぐれた風俗嬢のように、完全に大切な何かを失ってしまっている…

むしろ対価を得ていない分救いがどこにもない…

「私が風俗で働いててタケちゃんがお客さんで来たら、超当たりだなぁ。凄いサービスしちゃうと思う笑」

 

夫婦だからって、その大多数が、求め合い与え合う良いセックスする時代なんて、今までもこれからも無いとは思いますし、そんなセックス一生経験しない人も沢山いるんだろうなぁとも思いますが、少なくともK子はそれを強く望んでいたし、タケシもそんなK子の気持ちに応えたいと思いました。

この話を聞いて、クソ旦那は夫はおろか、人間かどうかも怪しいと思い、正直罪悪感や躊躇いはどこにも見当たらなくなりました。

今でも、この話全部、K子がタケシの気を引く為のフィクションだったら良いのにとすら思います。

その時から今まで、あの男はタケシにとって憎しみの対象でしかありません。

「不貞行為を正当化するな!この間男!」

と言われそうですが、いつ来るか分からない慰謝料請求の裁判まで、この気持ちを曲げるつもりはありません。すみません。

 

もっともK子は、タケシが足踏みしている間も、キスをする度タケシのタケシを悪戯っぽい顔で弄んでいましたから、2人が結ばれるのはまさに時間の問題でした。

 

次回へ続きます。

 

 

旦那さん→クソ旦那になった訳②

2.モラハラDV離婚再婚義母絶縁問題

これから色々話さなきゃならない事があると言ったK子は有言実行。

ある日電話で話をしていた時こんな話を始めました。

若い頃から女性特有の体調問題が優れなかった彼女は、医者に子供は出来ないかも知れないと言われていたと言いました。

そんなK子は某大手飲食チェーンへの就職を機に上京し、同期入社のクソに出会い交際、1年ちょいでデキ婚したと言いました。

既にクソ旦那の片鱗を見せ始めていた男とは、別れるつもりだったけど子供が出来てしまったからと、決して子供には言えないきっかけで…

恐らくヤブ医者の言う事を間に受け、ヤケクソで子供が出来るようなSEXを繰り返したであろう事も、妊娠が分かり、これは奇跡だ運命だ、この機会を逃したらもう2度とないかもしれない、辛い過去があった分家族もきっと喜ぶ、子供が生まれたらクソも改心するかもしれないと思って結婚したのでしょう。

その後すぐに2度目の奇跡が起こり、年子で2人目を出産となったそうです。

期待虚しく改心しなかったクソ旦那の暴言暴力を受けながら、幼い2人の子供の世話。彼女が逃げ出さない訳がありません。

当時K子を支えてくれていたという男と不倫し、離婚し、その男と逃げようとしたが、お前みたいな女に子供は渡さないと、クソ旦那のキチガイ母に謎の訴訟を起こされ、子供と暮らす為には再婚せざるを得ない状況に追い込まれ、やむを得ずクソ旦那と再婚したと言っていました。

相手の母親に訴えられたと聞かされた辺りから、タケシの理解を超え、今思い出しても、一体何を言っていたんだろうとしか思い出せません。

キチガイ母は、クソ旦那(息子)に、この女と再婚するなら、絶縁すると言い、結果再婚した為絶縁となったそうです。

恐らくキチガイ母に虐げられて来たであろうクソ旦那に同情し、例えキチガイでも唯一の肉親と縁を切らせてしまった事をK子も、そして彼女の家族も無駄に重く受け止めたのでしょう。

K子がふと、私には彼を選んだ責任があるからと、リアルはもちろん、フィクションでも聞いた事の無い言葉を口にした事があったのですが、クソ旦那だけではなく、自分の親にも言われたのではないだろうかと思いました。どちらにせよ正気ではないのですが…

むしろ第三者から見れば、クソ旦那は幼子なんてどうでもいいと思っていただろうし、キチガイ母の所有物であるクソ旦那が、妻を寝取られ子供ごと逃げられる事に耐えかねて起こした、ありがちな思考停止の田舎者のクソみたいなプライドから来る捨て身の行動であった事は容易に想像が出来ました。

キチガイ母にしてみても、本気で子供の面倒を見るつもりなんて無かっただろうし、となれば不倫妻を苦しめ、クソ息子を守る為の行動でしかなかった事は明らかでしたし…

何よりこの一件で得をしているのは、メンツを保って所有物を守る事の出来た上に、自分を苦しめた母親と縁を切る事が出来た、クソ旦那ただ1人ですからね。

彼女の悩みや後ろめたさは、結果その全てがクソ親子の望み通りとなってしまったのです。

これ以降主導権を取り戻し、更に恐怖政治に力を入れたクソ旦那は、K子だけでなく、子供にも手を上げていたそうです。

彼女は謎の責任感や罪悪感を抱えながら、クソ旦那からの暴力を避け、その場を凌ぐ為に、クソ旦那の機嫌を取る事、機嫌を損なわない事に注力し暮らし始め、K子自身のことは否定され、クソ旦那の価値観を押し付け続けられた結果、いつしか自らが憎むべき存在に自分自身が成り下がっている事にも、彼女の周りからどんどんまともな人が離れていっている事にも気づかずに生きていました。恐らく今もでしょうけど…

結局この異常な洗脳状態にあったK子は、こちらがどれだけまともな事を言っても、かろうじて話は聞くものの、受け止めて行動を変える事は最後までありませんでした…

ちなみにこの騒動の当時、彼女は法廷で不倫相手との事を、洗いざらい告白させられたりしたそうで、恐らく彼女の心の崩壊もこの辺りから始まっていたと思われます。

話の途中から鼻息を荒げ、キチガイ母を本当に頭のおかしいヤバい母親と呼び、その人に勝つ為に、敵の敵は味方理論で、逃げ出したい程嫌だった頭のおかしいヤバいクソ旦那と結託したこと、「タケちゃんは頭良いけど、私も法律とか裁判には強いよ!」と謎の張り合いをして来たこと、極めつけは当時彼女と逃げた男を、「私が旦那に戻っちゃったから、彼ちょっとストーカーみたいになっちゃって、、でも今は良き相談相手だけどね❤️」と笑って聞かされた時に、正直自分の未来が見えた気がしましたが、自分の目が悪く、そのビジョンが一瞬しか見えなかったことが、この時予見した未来を実現させるなんて、夢にも思いませんでした。

 

ちなみにその良き相談相手は示談か裁判で慰謝料を払わされたのかどうか、今結構気になっています。

 

次回へ続きます。

旦那さん→クソ旦那になった訳①

クソ旦那クソ旦那言っておりますが、最初はご主人とか旦那さんとか呼んでましたよ。

ものの数日ですけどね。

まずは軽めのジャブから。

1.年末のGPS問題

彼女が初めて飲み会に誘ってくれた前日、彼女がDさんにキスされた前日の事を教えてくれました。

彼女が、所属するママさんバレーチームの仲間やコーチ(男性)とどこかのお店で談笑していると、店に突然不機嫌なクソ旦那が現れ、家に帰るなり、散々罵声を浴びせられた挙句、年の瀬迫る寒空の下に叩き出されたと。

これだけでも普通に怖かったのに、彼女のiPhoneはクソ旦那にGPSで監視されていたと聞かされました。

そんなの匿名掲示板でしか聞いた事がない話だったので驚きを隠せませんでした。

ポケモンドラゴンボール?まるで所有物のように扱われている事を知り、タケシの中で晴れて旦那さんはクソ旦那になりました。

ちなみにこのGPS問題は彼女の両親もクソ旦那を説得して解決された(GPS解除)との事でした。

そんな2017-2018の年末年始、彼女のSNSには地元の福岡を舞台に、家族みんなで笑顔で幸せに過ごしてますー的な投稿が、子供だけでなく、クソ旦那の写真も込みでされており、強烈な違和感を覚えました。

確かにそんな話を知らなければ、誰のタイムラインでも見かけるような投稿ですが、以前から必要以上に幸せアピールを投稿をする人はきな臭いと思っていたタケシは、よりによって好きになった女性から仮説を実証してしまいました。

 

クソ旦那の彼女に対する異常な執着。

今になって分かった事ですが、モラハラDVやる人って本当にワンパターンです。

感情の所在が不明な彼女のSNS投稿。

推測の域を出ませんが、この一件を知るバレーのお仲間や、叩き出された後助けて貰ったご近所友達への、問題無いですアピールしなきゃ、もしくはしとけという動きだとタケシは思いました。

どちらが主導したにせよ、泣けるくらい小さな人間性に悲しさだけが募りました。

今になって分かった事ですが、モラハラDVの被害を受けてしまう人の特徴もこれまたワンパターンなんです。

https://ricon-pro.com/columns/16/

 

ちなみに会社の一部の同僚にも、この件を知っている人は数名おり、事情を聞いた誰もが皆別居や離婚を勧めたそうですが、彼女は何故か聞き入れず、その癖悲劇のヒロインを気取りたがったらしく、そんなこんなの積み重ねが、上司や同僚の彼女に対する評価を著しく落としていた事をタケシが知ったのは、終わりが始まった後の事でした。。

Love is blind.

 

そんなこんなで未だ見ぬ世界の扉が開いてしまいました。

次回へ続きます。

告白

タケシは酒の力を借りて女性を抱いた事はなく、その用心深さは石橋を叩いて壊すほどと自他共に認めていた。

「帰りましょう、自分もタクシー乗りますから」

自転車で走り出す彼女を見送り、タケシもタクシーで帰路に着いた、彼女にとってはあの場の勢いだったのかなぁとか考えているうちに眠りにつき、運転手さんの声で目を覚ましたらあっと言う間に自宅マンションに着いていました。

翌日、いつも通り出勤し、働いていました。

K子も斜め前の席で、何事も無かったかのように働いていました。

昼休み、K子からLINEが来ました。

「昨日の事覚えてる?私緊張して顔見れないよ」

確かそんな内容だったと思うが、そんな初恋を知った女の子みたいな台詞に、タケシは完全に撃ち抜かれました。

数日後、少し話そうかとなり、会社を少し離れた所から隅田川テラスに降りました。

2人壁に寄りかかって並び立ち、話をしました。

「あんな風にキスをしたくなってするキスは久しぶりだったなぁ」

「旦那さんとはしないの?」

「全然、そもそも旦那と上手く行ってないし」

ありきたりな台詞も気にならず、遠い目をする彼女に思わずキスをしました。

「私の事好き?」

「うん、好きだよ。そっちは?」

「私はまだ何も言えない。家庭もあるし…。もっと色々話さなきゃ」そう言いながら、晩御飯の支度をしなきゃとその場を後にしようとしたその去り際、

「LINEはこっちからする時以外しないで、バレたら大変だから」

そう言って彼女は自転車を漕ぎ出した。

その日から最後の前の夜まで、殆ど毎日彼女からLINEが来て、色々な事を告白され、色々な話をしました。

 

「私、コンプレックスの塊だから」

僅か3カ月の間に彼女から何度も聞いたこの言葉を初めて聞いた時、

「どうして?」と聞くと、

「私、初体験がレイプだったんだよね…当時は凄く悩んだけど、もう時効だから大丈夫だけど」と言われました。

高3の時に広島の専門学校を受験しに行った際、街で声を掛けられた男についてカラオケに行き、そこで事件に遭ったと聞かされました。

彼女の行動も正直軽率だとは思いましたが、よりによって最悪な目にあうなんて、そんな事をするクソ男はひと握りのはずなのに、まさに不運としか言いようがない。そう思い、タケシは黙って話を聞く事しか出来ませんでした。

「本当に怖くて、心を殺して、早く終われって思ってた…自分は男にとってただヤリたいだけの女なんだなって思って、その反動で学生の頃は遊びまくったんだ…」

この学生時代の話は最後まで彼女の口から語られる事はありませんでしたが、最後まで自分を悩ませた、彼女の自己肯定感の低さ、男性に対する歪んだ価値観や、死ぬほど辛い事を心を殺して耐えてしまうという自己防衛手段は、この時に意図せず身に付けてしまったものであろう事は容易に想像でき、この時は変に去勢を張る彼女をただただ抱きしめていました。

 

そしてこちらが息をつく間も無く、クソ旦那との壮絶エピソードが語られ始めました。

 

次回に続きます。

 

ファーストキス

あくまでも仕事仲間として関わっていた彼女について、タケシが知っていたパーソナルな情報は、タケシが入社した12月も終わりに差し掛かった頃、「やっぱ早めに飲みに行かないと打ち解けられないよね?何人か声掛けるから飲み行こ!」と誘われた12/29の飲み会。

その2次会のカラオケで、同僚のDさんにキスをされ、後日Dさんに誘われたがそれを断ったという話を、自分タケシを会社に紹介したIさんに聞かされ、それと同時に、この飲み会の前日夫婦喧嘩で大変だったらしい(この時の話について彼女から聞いた話は一旦後回しにします)からみたいな話を聞かされました。

社員の平均年齢は高い癖に、その辺の中高生ばりに噂が好きな会社で、K子とDさんキスしたってよ話はみるみる広まり、年明けに開かれた部の飲み会でも、直上司からK子に、

「Dさんとなんかあったの?」

「いやいや、何も無いですよ!」

と不毛なやり取りがされていた事はしっかりと記憶に残っています。

そんな話が有ったからかどうかは知りませんが、別の同僚Sさんが、K子を仕事にかこつけてDさん含めて3人で行こう飲みに誘い、その翌日Sさんが会社を休んだ為、Sさんの直上司のTさんにK子が呼び出され事情聴取されるというしょうもないやり取りもありました。

ちなみにこの時Dさんはこの上司Tさんに直前で参加を止められていたようで、結果Sさんと2人で飲みに行ったそうですが、帰りたがるK子を必死に止めるSさんを振り切って帰宅したという話も後日彼女から聞きました。

 

そんなこんなで4月も終わろうとしていたある日の事、

Facebook友達申請してよ〜」

「あー、分かりましたー、やっときまーす」

的なやり取りをした数日後の休日。

彼女からメッセージが来て、

「タケシ君は彼女とか作らんの?」

「いやぁなかなか難しくて」

「どんなタイプが好きなの?」

「うーん、20代後半の博多美人とか最高っすね!笑」

「それってうちのこと?」

「欲張りっすね、欲張りな女好きですけど笑」

「でもうちのこと女として見てないよね?」

「そんな事ないですよ!K子さんはいい奥さんでいいお母さんでいい女だと思いますよ」

「いい女って響きいいねー」

「欲しがってた事言われた気分はどうですか?」

「ちょっと酔ってるから許せ笑」

みたいな、やれそうでやれない男女みたいなやり取りをした後の5/7の月曜日。

当時の直上司の誘いで、上司、K子、タケシの3人で飲みに行きました。

仕事にはアツイ3人だったので、話は盛り上がり、お酒もどんどん進んでいました。

(何を話したかなんてもはや覚えちゃいませんが…)

K子がトイレから戻りタケシの横に座った時、彼女の手が、置いていたタケシの手に触れました。

何故かその手は離れず、そのままタケシの手をツンツンしていました。

タケシが「ん?」みたいな顔を向けると、彼女は一瞬笑い、向かいに座っていた上司に向き直り、話を始めるのと同時に、今度はタケシの手に指を絡ませて来ました。

彼女へのまだ淡かった好意と、何でこんな事するんだろうという好奇心から、吸い寄せられるように手を握り返すともう止まらなくなって、アツく語る上司の話を聞きながらその向かいの机の下でテックスが始まってしまいました。

「締めにラーメン食べよう!」と入ったラーメン屋でもテックス。

店を出て上司が姿を消した後、終電後の駅前で、あまりにも普通に手を握られていました。

そのままタクシーに乗ったら吐き散らかしそうなほどタケシは酔っていた為、

「酔い冷ましてから帰るんで大丈夫です。早く帰って下さいね!」と声を掛けましたが、彼女は手を離さず、少し離れた喫煙所まで付いてきました。

まだ冷える5月の夜、

「まだ冷えますねー」

「ねー寒いー」

と話していた時には完全に懐に潜り込まれていました。

息がかかるほど目の前でタケシを見ながら寒い寒い言っているK子、確かに寒いし、飲み過ぎて気持ち悪いし、テックスしちゃったし、何かもう、あーみたいな感じでタケシは彼女にキスをしました。

唇を離すとK子は、

「キスしちゃった」と照れ笑いをしました。

その後はどちらともなく、人目も憚らず、汚い街角でアホみたいにキスをしました。

何度目かのキスの後、K子はズボンの上からタケシの股間を撫で、

「このままキスしてたらホテル行っちゃう」

と笑顔で言いました。

 

次回へ続きます。

 

 

はじめに、と自己紹介

このブログは10年以上に渡るご主人(以後クソ旦那)からのDV、モラハラにより9割がた心を壊され、人権すら失いかけている人妻(以後K子)に真剣に惚れ、そんな彼女を助けたい、正気を取り戻して欲しいと奮闘するも、やっとスタートラインに立った辺りでクソ旦那に関係がバレ、依頼彼女と音信不通となっている、筆者(以後タケシ)の記憶ベースの記録と、どうにも捨て去る事の出来ない気持ちの捌け口として、またGoogleではなかなか見つける事の出来ない、よくある性格の不一致では済まされないレベルの仕打ちを受けた既婚女性が不倫をした場合、どのような結末を迎える事になるのか、当事者としての自分の記憶と心を削り出し、書き残していきたいと思います。

 

もし、今後この記事を読んでくれた方やその周りの方にモラハラに悩む人が居たら、何を置いても全力で逃げて欲しいし、そうするように全力で助けてあげて欲しいと思います。

もしも、モラハラやDVに悩む人を好きになってしまった方は、あらゆる事態を想定して入念な準備や様々な対策を用意した上で、全力で好きな人を助けてあげて下さい。

 

筆者タケシの自己紹介します。

神奈川県南部出身

父方の祖父は医師、母方の祖父は教師、父と母は多分誰でも知っている都内の有名私立大学を卒業し、経済環境は常に中の上という家庭でただただのんびり育ちました。

自身は県内の私立進学校から一浪した後、父と母の母校の間を取った私立大学に進学。

在学中は、「頑張らない事を頑張る」という、今となっては到底理解出来ないモチベーションで学生生活を謳歌

卒業時、天性の天邪鬼が発動し、新卒チケットを破り捨て映像業界へ飛び込むも、過労とストレスで身心ともに弱り果て離脱。

以降、完全に人生の芯というか、核となるものを見失いながら、たまにもがいて、基本流されて今に至ります。

 

K子との出会いは2017年の12月、法に触れなければ何をしても良いがモットーの有名なブラック営業会社の企業舎弟的な会社から現在の会社への転職がきっかけでした。

彼女への第一印象は、顔はキツめの美人顔(結構好き)、頭は悪そう(結構苦手)だけど、明るくて、人懐っこい雰囲気から、同僚としてすんなりと打ち解けたと思います。

彼女が既婚者で、仕事と家庭の両立に奮闘している事は早い段階で知っていた為、偉いなぁとは思いつつも、こちらから何か仕掛けるような事は特にありませんでした。

ただし、近くに居た同僚によれば、この時点から彼女のアプローチは始まっていたようです…

 

次回に続きます。