死ぬほど愛した人妻に死ぬほど憎まれる男のこれまでとこれからの話

クソ旦那の長年に渡る各種DVで心を壊された人妻を愛するも、クソ旦那にバレて強制終了。愛する女性を無くした悲しみから抜け出せず、現在訴状待ちのお人好し系男(独身)の話。

地雷原

地雷原(じらいげん)は、地雷が広範囲に埋設された地帯を言う。

 

K子との日々は、まるで地雷原を歩くように思える事が多々有りました。

とにかく何がきっかけで爆発するか分からず、訳を聞いても理解を越える事が多かったように思います。

K子はよく、自分を卑下するような事を言っていました。

「私より綺麗な女の人は沢山いる」

「〇〇ちゃんの方が私より優しいと思う」

「私は最低の女だから…」

K子の望む言葉はただ一つ、

「そんな事ないよ」

だけでした。

試しにK子の自身を貶める言葉に同調してみると、

「酷い!」

「冷たい!」

「悲しい!」

と、一気にボルテージを上げて怒りをぶつけて来ました。

タケシが1番嫌だったのは、K子がその怒りなどの負の感情を、基本LINEや社内チャットで一方的にぶつけて来る事でした。

タケシは理不尽な怒りをぶつけられる事がとりわけ苦手な男なので、クールダウンするまで無視したいのですが、返信をしないと、

「そんなに冷たくするなんて酷い!」

「今すごく冷たい顔をした!」

と悲劇のヒロインモードに突入したり、

「無視か?」

と輩モードで絡まれたりしていました。

ワンフロアの零細企業内での社内不倫であった事もあり、タケシがK子以外の女性とコミュニケーションを取るだけで、

「ムカつく!」

「これからはどうぞ〇〇さんと仲良くして下さい」

「私の事好きだって言うのに、他の女とイチャイチャするなんて許せない」

 

など、理不尽な言葉をぶつけられながら鬼の形相で睨みつけられたりもしました。

そんな時K子はタケシにだけ冷たく接したり無視したりするので、仕事にも支障が出まくりでした。

ヒステリーの原因は120%欲求不満とは言うものの、2人でのんびり過ごす事はもちろん、電話で話せる時間も限られており、また地雷の数は毎日増えているように感じられ、タケシの心労は増えるばかりでした。

しかしながら当時のタケシは、K子の心が不安定なのはクソ旦那を筆頭に周りにろくな人間がいないからで、環境や関わる人間が変われば、きっと良くなるに違いないと信じており、努めて対話を試みていました。

異常な嫉妬に対して、

「そんな軽い気持ちでK子を好きになった訳じゃないし、そもそも〇〇さんだって迷惑だよ」

一方的な怒りについて、

「直接話さずに理不尽な感情をぶつけて逃げるのは卑怯だと思うしやめて欲しい。何かあればこうして話せるんだから、ちゃんと話し合って解決して行こうよ」

「確かにそうだよね」

とその時は聞いてくれた雰囲気になっても、同じことが繰り返されていた為、結論K子には理解してもらえなかったのでしょう。

また、こうした対話の中でもK子はさらにあさっての方向から、逆にタケシがまったく理解出来ないような事を言いました。

怒りを抑える事が出来ない事について、

「良くないって分かってるけど感情がどうしてもコントロール出来なくてつい怒りをぶつけてしまう」

嫉妬が止まらない事について、

「タケちゃんが他の女に行くなんて思わないけど、不安が強過ぎて頭がおかしくなる」

「私は嫉妬を止められないから、タケちゃんも同じくらい嫉妬して欲しい。そうされる方が私は嬉しい」

そもそもの生き方のスタンスについて、

「そもそも私にとって、恋愛の優先順位は高くない。家の事が最優先だから、学生みたいに恋愛の事ばかり考えていられない。だからタケちゃんも、私がキレてるのは無視して仕事に専念して欲しい。私に対して気を遣うんじゃなくて、チームのみんなに気を配った方が良い。私はその時は寂しくなっちゃうかもしれないけど、だからって私の顔色ばっか気にしないで良いよ」

他にも、

「不倫するなら既婚者同士の方がお互い割り切れるから良い」

「私が知らない女だったら、どこで誰と何しても良いよ」

「タケちゃんが他の誰かと結婚したら、私はきっと泣いちゃうけど、奥さんに悪いから私はいなくなるね」

この時点で、首輪をつけてでもカウンセリングや精神科に行かせるべきだったと今では思えますが、当時のタケシはまだ自力での解決を望んでいました。

K子を助ける事が出来るのは自分しかいないと。

 

次回へ続きます。