ファーストキス
あくまでも仕事仲間として関わっていた彼女について、タケシが知っていたパーソナルな情報は、タケシが入社した12月も終わりに差し掛かった頃、「やっぱ早めに飲みに行かないと打ち解けられないよね?何人か声掛けるから飲み行こ!」と誘われた12/29の飲み会。
その2次会のカラオケで、同僚のDさんにキスをされ、後日Dさんに誘われたがそれを断ったという話を、自分タケシを会社に紹介したIさんに聞かされ、それと同時に、この飲み会の前日夫婦喧嘩で大変だったらしい(この時の話について彼女から聞いた話は一旦後回しにします)からみたいな話を聞かされました。
社員の平均年齢は高い癖に、その辺の中高生ばりに噂が好きな会社で、K子とDさんキスしたってよ話はみるみる広まり、年明けに開かれた部の飲み会でも、直上司からK子に、
「Dさんとなんかあったの?」
「いやいや、何も無いですよ!」
と不毛なやり取りがされていた事はしっかりと記憶に残っています。
そんな話が有ったからかどうかは知りませんが、別の同僚Sさんが、K子を仕事にかこつけてDさん含めて3人で行こう飲みに誘い、その翌日Sさんが会社を休んだ為、Sさんの直上司のTさんにK子が呼び出され事情聴取されるというしょうもないやり取りもありました。
ちなみにこの時Dさんはこの上司Tさんに直前で参加を止められていたようで、結果Sさんと2人で飲みに行ったそうですが、帰りたがるK子を必死に止めるSさんを振り切って帰宅したという話も後日彼女から聞きました。
そんなこんなで4月も終わろうとしていたある日の事、
「Facebook友達申請してよ〜」
「あー、分かりましたー、やっときまーす」
的なやり取りをした数日後の休日。
彼女からメッセージが来て、
「タケシ君は彼女とか作らんの?」
「いやぁなかなか難しくて」
「どんなタイプが好きなの?」
「うーん、20代後半の博多美人とか最高っすね!笑」
「それってうちのこと?」
「欲張りっすね、欲張りな女好きですけど笑」
「でもうちのこと女として見てないよね?」
「そんな事ないですよ!K子さんはいい奥さんでいいお母さんでいい女だと思いますよ」
「いい女って響きいいねー」
「欲しがってた事言われた気分はどうですか?」
「ちょっと酔ってるから許せ笑」
みたいな、やれそうでやれない男女みたいなやり取りをした後の5/7の月曜日。
当時の直上司の誘いで、上司、K子、タケシの3人で飲みに行きました。
仕事にはアツイ3人だったので、話は盛り上がり、お酒もどんどん進んでいました。
(何を話したかなんてもはや覚えちゃいませんが…)
K子がトイレから戻りタケシの横に座った時、彼女の手が、置いていたタケシの手に触れました。
何故かその手は離れず、そのままタケシの手をツンツンしていました。
タケシが「ん?」みたいな顔を向けると、彼女は一瞬笑い、向かいに座っていた上司に向き直り、話を始めるのと同時に、今度はタケシの手に指を絡ませて来ました。
彼女へのまだ淡かった好意と、何でこんな事するんだろうという好奇心から、吸い寄せられるように手を握り返すともう止まらなくなって、アツく語る上司の話を聞きながらその向かいの机の下でテックスが始まってしまいました。
「締めにラーメン食べよう!」と入ったラーメン屋でもテックス。
店を出て上司が姿を消した後、終電後の駅前で、あまりにも普通に手を握られていました。
そのままタクシーに乗ったら吐き散らかしそうなほどタケシは酔っていた為、
「酔い冷ましてから帰るんで大丈夫です。早く帰って下さいね!」と声を掛けましたが、彼女は手を離さず、少し離れた喫煙所まで付いてきました。
まだ冷える5月の夜、
「まだ冷えますねー」
「ねー寒いー」
と話していた時には完全に懐に潜り込まれていました。
息がかかるほど目の前でタケシを見ながら寒い寒い言っているK子、確かに寒いし、飲み過ぎて気持ち悪いし、テックスしちゃったし、何かもう、あーみたいな感じでタケシは彼女にキスをしました。
唇を離すとK子は、
「キスしちゃった」と照れ笑いをしました。
その後はどちらともなく、人目も憚らず、汚い街角でアホみたいにキスをしました。
何度目かのキスの後、K子はズボンの上からタケシの股間を撫で、
「このままキスしてたらホテル行っちゃう」
と笑顔で言いました。
次回へ続きます。